9月11日・12日に行われた新作組踊「今帰仁落城」において、クライマックスに出てくるのが、隣の写真の今帰仁の金比屋武(なきじんのかなひゃぶ)です。
世界遺産の一つである今帰仁城内にある御獄。ここは、琉球七獄の一つでもあります。
北山最後の王が、今帰仁城が攻め落とされるときに、城を護らなかった守り神である霊石に憤り、宝剣千代金丸で斬りつけたという伝説が残っています。
この霊石は「受剣石」とも呼ばれています。実際に残っている霊石には、ひびが入っていますが、伝説の中では、憤った北山最後の王・ハンアンチが石を真っ二つに切り裂いたとなっています。
今回の新作組踊の中でも、石にひびを入れるのではなく、真っ二つに切り裂く場面があります。
また、「今帰仁落城」の中で、重要な転換場面になる歌が今帰仁城の中に残されています。
「今帰仁の城 しもなりの九年母志慶真乙樽が ぬきやいはきやい」
(今帰仁城主の愛妾志慶真乙樽が老年になってできた子を可愛がる様子を時期外れのみかんに例えた琉歌)
「今帰仁落城」の中でも重要な役柄であった乙樽は、北山王の側室で、絶世の美女として知られる伝説の女性であり、忠誠と慈悲にあふれるその姿は、のちに神と言われるようになり、今帰仁御神と呼ばれるようになったとのこと。女性の名が歌碑に残るのは珍しいことで、いかに乙樽が今帰仁において重要な位置を占めていたかが分かります。
写真は、一枚目は、琉球七獄の一つであり、受剣石とも呼ばれる「金比屋武」
二枚目は、今帰仁城内に残る、乙樽の歌碑です。