この言葉は、最近読んでいる本
吉田篤弘「パロール・ジュレと紙屑の都」の中の好きな言葉。
「…勘はアンテナではない。少なくとも頭の上に立てて求めるものじゃない。
それは幸運と同じように突然向こうからやって来る。が、幸運はただ一頭の羊がやって来ることだが、勘は羊が何頭もやって来て、そのうちの一頭だけが本物で、あとは羊の皮をかぶった狼でしかない。本物を捕えなければこちらが喰われる。
そればかりか、羊にまったく気付かないこともある。というより、あらかたは気付かない。
羊は、日々何頭も現れているはずなのに、そのほとんどが目にとめられることもない。
人々の傍らを音もなく過ぎ去ってゆく。
となれば、実行あるのみ。
アンテナを立てる必要もないなら、何ら準備することもない。…」
(下)につづく…
写真は、あるようで気付かないという意味から、夜に咲く蓮の花をイメージで。