子宝の霊場である、シルミチュー霊場のほかにも沖縄には、開闢伝説が各地に伝わっています。
浜比嘉島では、アマミチュー、シルミチューという男女の神様が島に降り立って、男女の神様が夫婦となり、そこから人々が増えたという、アダムとイブや、古事記のイザナミ、イザナギのような伝説が残されています。
シルミチュー霊場に上るための長い階段が産道であり、たどりつく鍾乳洞が子宮、そこにある鍾乳石が男性器、洞穴内にある壺に年に一度、石を入れるのは卵子と精子の受精を意味しているとも言われています。
口承伝承であるため、学術的ではなく、また多くの説があります。
ここでいうアマミチュー、シルミチューについても、何通りかの学説があり、2人の神様の名前という説だけではありません。現在の学説では、アマミチュー(本島ではアマミキヨと呼ばれる)は、「奄美から来た人」という意味で、個人名ではなく、日本人とかアメリカ人というような集団の固有名詞であり、一人ではなく、集団で海を渡ってきたというのが定説なっています。
アマミチュー(アマミキヨ)に対してのシルミチュー(本島ではシネリキヨと呼ばれる)は、学説によると、アマミキヨに対する反語であり、個人名ではないとの説もあります。
ですので、アマミチュー、シルミチューに男性神とか女性神のような性別もないというのが現在の学説の定説になっています。
学術的なところと、精神世界の基層信仰的な受け取り方、どちらにしても、琉球の始まりとして現代社会でも、沖縄の礎として、大切に崇拝されていることが分かります。
学説は少しロマンチックじゃないな…というのもあるかもしれませんね。