シルク・ドゥ・ソレイユ、それは私の人生を変えたといっても過言ではない大好きな舞台です。今までに、「コルテオ」を2回、「ゼッド」を数えきれないくらい見ました。舞台はその日その日で雰囲気がだいぶ違います。観客の反応も違いますし、ステージも同じ演目でも空気感が違います。
「コルテオ」は昨日出演したラジオ番組でも紹介しました。昨日のラジオ番組で、「好きなCDを2枚紹介するので、CDを2枚持ってきてください」と言われました。そのときに紹介したうちの1枚が、この「コルテオ」の16番目のフィナーレの曲。ちなみにもう一枚は大好きなミュージカル映画「ナイン」の中より「シネマ・イタリアーノ」を紹介しました。
「コルテオ」とは、イタリア語で「行列」を意味します。一人のクラウンを中心に繰り広げられる祝祭のパレード。それは楽しく陽気でありながらも、どこか儚く哀愁漂う世界。激しく情熱的でありながらも、どこかに切なさや静寂を感じるメランコリックな雰囲気。夏の終わりで、日が暮れるのは日増しに早くなり、夕暮れの寂しさのような、どこかに隙間を感じる想い。それは、サーカスのクラウンの「死」と「再生」がテーマだからかもしれません。
シルク・ドゥ・ソレイユは、究極の芸術です。サーカスという固定概念を根本から覆す、圧倒的なオリジナリティーと芸術性、クオリティーの高さは他の追随を許しません。私が初めて見たのは、「ゼッド」でしたが、その公演を見たとき私は涙が止まらず、号泣しながら、ひたすら拍手したのを覚えています。舞台を見てあんなにしゃっくりをするほど泣いたのは始めてです。それはとても嬉しい体験でした。
バレエが大好きな私は、シルク・ドゥ・ソレイユの、身体の美しさ、元オリンピック選手など世界中のアスリートがアーティストになっている人材の確かさが大好きです。身体というのがここまで雄弁に語るというのを実感できます。生で演奏される世界中の民族音楽をもとにしていると思われるミュージックは、ミュージカル並みの耳での楽しさと、目での楽しさ、そして肌に突き刺さる音の振動で、心が揺さぶられてばかりです。衣裳、メイクの奇抜さも楽しみの一つ。舞台中に見る場所があまりにも多すぎて、何度見ても新しい発見があります。
そして、想像力と芸術性の高い舞台を作り上げる出演者、ミュージシャン、音響照明などの裏方スタッフ、演出家、その他様々な多くの人間のひと手間もふた手間も、なん手間もかかられた世界観を徹底的に作り込むプロとしての姿勢、生きざまに、勇気づけられます。根底に流れるこの姿勢に一歩でも近づきたい、それが私の原動力にもなっています。