立て続けに読んだ村上作品。この小説は、1982年発行です。村上作品には、あらすじというものがありません。普通、他の本を読むときには、あらすじを読んで面白そうだなと思うと、読むのですが、村上作品の場合は、最初のページの雰囲気で、読むか読まないか決めます。
この「羊をめぐる冒険」は、その出だしが面白くて読み始めました。
新聞で偶然彼女の死を知った友人が電話で僕にそれを教えてくれた。彼は電話口で朝刊の一段記事をゆっくり読み上げた。平凡な記事だ。大学を出たばかりの駆けだしの記者が練習のために書かされた文章だった。…
最初に登場する「彼女」は、その後の話にほとんど関係がありません。しかも、この小説は名前というのが出てきません。主人公は終始「僕」で表現され、「彼」や「彼女」「羊博士」「羊男」などなど。
私はあまり多くの村上春樹の作品を読んだことはないのですが、挿絵があって珍しかったので。羊男です。小説家の頭の中は、どうなっているんでしょうか。今いる現実から、違う世界に引っぱり込めるってすごい才能だなって思います。
最近は、映画よりも小説のほうが好きです。文章には映像も音声もないので、それを自分で作り出す作業はとても楽しいというのがその理由です。私は、舞台も演劇よりもバレエのほうが好きです。それも、自分が想像する余地があるのが楽しいから。
すべてが決められているのではなく、自分の世界観を入れるのは楽しいこと。それは、ウェディングの世界も全く同じ。
Love Baile(ラブバイレ)×CASSINA IXC.(カッシーナイクスシー)オータム・ブライダルフェア !!!!
日時:2010年10月16日(土)~24日(日)
11:00~19:00(水曜日定休)※入場無料
場所:カッシーナ・イクスシー沖縄店
那覇市天久1-6-5 (098-860-9661)
あなたの感性で作り出すウェディングを超えたウェディング。ぜひ新都心、ペットボックス斜め向かい。真っ白いおしゃれな建物です。お会いできることを楽しみにしています。
最後にもう一つ。
…佐伯さんは机の上に置いた自分の両手を見て、それからまたナカタさんの顔を見た。「思い出はあなたの身体を内側から温めてくれます。でもそれと同時にあなたの身体を内側から激しく切り裂いてきます」…
恋愛の究極のような言葉です。温めながら切り裂く。片思いに終わった恋、終わらせなければいけなかった恋、出会った喜びと同時に、出会ったことで忘れることが出来ずに苦しむ。特に今の季節、少し寒くなってきて、日が暮れるのも早いし、なんとなくメランコリックな、せつない、寂しい想いを感じやすい今日この頃。
もっと若い時には、こういう言葉が強すぎて、あまりにも自分にリンクしすぎてしまい、村上作品が読めなかったのかも…とも思います。
興味をお持ちになった方。ぜひ秋の夜長に読書でもいかかでしょうか。
一言で説明するのはとても難しい。
現実の世界と、精神世界と言うか、観念の世界を行き来するし、簡単にいえば、幼少期に母親が失踪し、
父親に愛されなかった少年が15歳の誕生日に家出をし、そこから、広い世界を見ていくという感じだけど、
こんな風に書くと、全く面白くない。あの村上春樹の世界観を私が表現することなんて出来ない。
上下巻のこの小説の中から気に入ったフレーズを。
…「じゃあひとつ訊きたいんだけど、音楽には人を変えてしまう力ってのがあると思う?
つまり、あるときにある音楽を聴いて、おかげで自分の中にある何かが、がらっと大きく変わっちまう、
みたいな」大島さんはうなずいた。「もちろん」と彼は言った。「そういうことはあります。何かを経験し、
それによって僕らの中で何かが起こります。化学作用のようなものですね。
そしてそのあと僕らは自分自身を点検し、そこにあるすべての目盛りが一段階上にあがっていることを
知ります。自分の世界がひとまわり広がっていることに。僕にもそういう経験はあります。
たまにしかありませんが、たまにはあります。恋と同じです」…
こういう感性を持って生きるのはすごく生きやすいことだと思いました。
毎日同じことをしているように感じがちですが、実際には同じ毎日はありません。そう言われても、
やっぱり同じ毎日、退屈に思ってしまうのが人間。でも、同じ毎日でも、上記の言葉のように世界を見ていると
なんて、世界は広いのだろう。自分のいる場所でさえ、分からないこと、発見が多いことだろう。
幸せは目の前どころか、手のひら、頭の上のメガネのようにあって、気付いていないだけなのかもしれない。
気付いたときに、「すべての目盛りが一段階上にあがっている」ことを実感できるのかも。
と思った、フレーズでした。