本を読む。①に引き続いての、著書は、ロス・キング「謎の蔵書票」。こちらは1660年、王政復古後のロンドンが舞台。1660年のロンドンと、1620年代のプラハという2つの時間軸で、40年の歳月を経て、「迷宮としての世界」という一冊の本からひも解かれる謎。書籍に関する蘊蓄をちりばめて送る歴史ミステリ。と、言われた話題の本ということで、ワクワクしながら読んだ…のですが…。読み始めは、古今の書籍、哲学や文学、宗教から様々な本の話であるとか、錬金術や暗号、迷路、薔薇十字団、ルドルフ2世、自動人形、ヘルメス文書などまるでダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチコード」のような世界観かと思ってページをめくっていったのですが…。落ちがひどすぎる(;;)ネタバレでになっちゃうので、もし読みたい方がいたらごめんなさい、という感じなのですが。一生懸命解いた謎も、暗号も、推測も、すべてはこの蔵書を探してほしいと言っていた貴夫人によって仕組まれたことで、結局探していた本は、彼女自身が持っていて、その持っている本を敵から奪われないための時間稼ぎとして主人公に本の行方を追ってもらっていた。しかも、なんだかよく分からないけれど(説明はあったけれど、よく覚えていなくて…)、彼女が住んでいる古いお屋敷が、配管が壊れたとかで洪水になり(家の中で洪水になるんです)、家に残っていた数々の貴重すぎる書籍がすべて水に流され、この肝心の本も水に流され、彼女も敵も行方不明。主人公だけが生き残って、おしまい…という…。えっ、あんだけ説いた暗号は??とか、この本はなんだったの??とか、私の中では落ちがどうしても納得できないというか(;;)。う~~~ん。という感じでした。
ただ、当時において書籍であるとか、図書館というのは現代の感覚とは全く異なり、知識というのが一種の大きな武器であったということ、ガリレオやコペルニクスのように科学的見地と宗教的見地がずれたときに、その書物自体が大きな力を持ち、その力を抑え込むためにたくさんの血が流されたこと、という歴史の一端を感じることが出来ます。
そして最後の1冊が、ケイト・モートン「忘れられた花園 上・下」。タイトルを見たときはそこまで惹かれるものはなかったのですが、面白かった☆☆☆オーストラリアの作家で、サンデータイムズ・ベストセラー第1位、アマゾン・ドットコム ベストブック、オーストラリアAIBA年間最優秀小説賞を受賞した本作品。
「暗くサスペンスフルで魔力に満ちた香り高い物語(…)足を踏み入れたが最後、虜になること間違いなしの傑作。≪サンデー・テレグラフ≫」「最初から最後まで、ひねりと意外性の連続。最終章まで謎に翻弄され続ける一冊。≪イヴニング・ガゼット≫」「ダフネ・デュ・モーリアの完璧なまでの継承者≪ル・フィガロ≫」「読者を現実から遠く離れた別世界に誘う壮大で豪奢な作品≪NYデイリー・ニュース≫」などなど各紙、各氏大絶賛の本著。
現代のオーストラリアに住む主人公と、その祖母、そしてその出生の謎にせまる話で、2005年の現代と、1975年の祖母の時代、1900年代のロンドンと、3代に渡る一族の物語。ここにも19世紀末から、20世紀初頭のロンドンが話の鍵を握り、その中で、話しの中心となるイライザという少女が「切り裂きジャック」遊びをするシーンなど、その当時のロンドンの風俗という点から見てもとにかく面白い作品です。なぞの解明の仕方も分かりやすく、後味もよく、夢中になって読んだら、気付いたら夜が明けていた☆という本でした!!