2010年10月1日(金)から12月20日(月)まで、国立新美術館で行われている、没後120年ゴッホ展~こうして私はゴッホになった~を見に行ってきました。日本でも人気の高い画家というだけあって、平日の開館直後の10時過ぎたというのに、人、人、人…。人の頭を見に来ているかのような大賑わいでした。
1890年6月5日付けのゴッホの手紙には「ぼくは100年後の人々にも、生きているかの如く見える肖像画を描いてみたい」という言葉が遺されています。フィンセント・ファン・ゴッホは、とても有名でとても人気の高い画家ですが、生きた時間は1853年から1890年のわずか37年。しかも画家を志したのは、27歳のときで、10年足らずの時間で残された作品が今なお私たちを惹きつけてやみません。
日本でもこれまで多くの作品が紹介されてきたゴッホ。しかし、ゴッホがいかにしてそれを作り上げるに至ったかについては、これまで十分に紹介されてきたとは言えません。27歳で画家になることを志したゴッホは、同時代の画家たちやその作品から、さまざまなものを吸収し、みずからの作品に反映させてきました。本展は、ゴッホの代表作に加え、ゴッホに影響を与えた画家たちの作品、ゴッホ自身が収集した浮世絵などを展示し、「ゴッホがいかにして『ゴッホ』になったか」を明らかにするものです。日本初公開の作品を含む、ゴッホの油彩画36点、版画・素描32点、オランダ時代のゴッホに絵画表現技法の基礎を手ほどきしたハーグ派のモーヴや、パリ時代に出会ったモネ、ロートレック、ゴーギャン、スーラなどの油彩画31点、版画8点、その他資料16点のあわせて123点を展示し、ゴッホ芸術の秘密に迫ります。(チラシより抜粋)
ゴッホの色彩豊かな代表作しか知らなかった私は、初期の模索の時代の習作や、版画、暗い色の作品などを始めてみました。でも、私に絵的な専門知識がないために、やっぱり代表作のあでやかな色の配色、絵の厚みに心惹かれました。ゴッホは、死後こんなに有名になったのに、生前売れた作品はたったの1枚、精神錯乱の中で37年の短い生涯をピストル自殺で劇的に幕を下ろす。その満たされなさが、人々の心をつかむのかもしれませんが、人の幸せってなんなんだろうなと、漠然と思う展覧会でもありました。2枚目の写真で紹介した「アルルの寝室」は、中野京子「怖い絵」の何巻だったか忘れてしまいましたが、その本の中でも紹介されていた気がします。絵を実際に見た後に、もう一度読みたいなと思いました。