を最近読み終えました。村上春樹の作品の特徴は、読み終わった後に、現実と小説の
境目が分からなくなって、ぼーっとしてしまうこと。
海辺のカフカの話は、1Q84のパラレル世界を描いているような気がして、
世界は、私たちが過ごしている何気ない日常の世界と、そこから少しだけずれてしまった、
海辺のカフカの世界、そして、この2つの世界とねじれの関係になっている1Q84の世界という風に、
すべては少しずつずれているけどでも動いている世界という風に感じました。
海辺のカフカの中からお気に入りの言葉を。
「…相互メタファー。君の外にあるものは、君の内にあるものの投影であり、君の内にあるものは、
君の外にあるものの投影だ。…」
この言葉の後には、もっと哲学的な深く暗い話が続くのですが、私はこの言葉をとても前向きに
受け取りました。つまりは、自分が居心地がいい、楽しいと思う生活だと実感しているのは、
自分の精神が作り出したものだし、自分が幸せ、楽しい、満足と思うのは、現実世界にも必ず反映する。
話の内容は、こんな簡単な前向きな話ではないし、
この内容からはそういう風には受け取るべきではないかもしれないけど、
村上春樹の紡ぎだす言葉は、趣があり、表現に深みがあります。
他の人も似たようなことを言っていますが、村上春樹の小説の世界観から受け取る言葉は
それよりもさらに深い世界を感じさせてくれます。