沖縄ウェディング プロデュース 「Love Baile(ラブバイレ)」

本を読む。①

2011.06.30

たまたまイギリスが舞台の本を読んでました

 最近読んだ本。まずは、19世紀初頭のイギリスを舞台に、虚構と史実を緻密にからませたスザンナ・クラーク「ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」。2004年にイギリスで刊行され世界的ベストセラーになった本著。ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞、ミソピーイク賞、ローカス新人賞など多くの賞を受賞し、書評などでも、「まぎれもなく過去70年のあいだに書かれた英国ファンタジーの最高傑作だ。〈ニール・ゲイマン〉」、「ダークな神話や伝承とオースティンの極上の社会喜劇をひとつに合わせて、トル―キンにも劣らない傑作にまとめあげたキマイラ的作品。≪タイム≫」など大絶賛された。

ここからでは想像しかできない19世紀イギリスの空気感

 細部に渡って丁寧に作品の中にとりこまれた歴史的エピソードが、ときに伏線となり、ときに道案内役となって豊かな物語世界へ導いていく。まるで歴史小説を読んでいるような気分の中で、知らず知らずのうちに「魔法」「魔術」という究極の想像力の世界にすっかりとりこまれてしまうのだ。(中略)さらにこの作品に独特の味わいを与えているのが語りの妙だ。オースティンやディケンズを思わせる古風で軽妙な文体は、この時代らしさを演出し、やや冗漫にも思えるゆるやかなテンポが心地よくさえある。キャラクターの描き方もきわめてオースティン的、ディケンズ的だ。それぞれの人物の欠点や弱みをユーモラスに当てこすりつつ、それゆえの人間くささを見事に描ききだしている。(中略)全編にちりばめられた膨大な注からは、英国のもうひとつの歴史ー英国魔術史ーが圧倒的な存在感を持って立ちのぼってくる。(中略)本著は、まさしく、周到に用意された大人のための魔法の物語といえるだろう。      (訳者あとがきより抜粋)

ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル 全3巻

 このように世界中で大絶賛だった本著。イギリスの文豪の作品を読んだことがないからか、はたまたどこまでが史実で、どこからが虚構なのか歴史的事実についていけていないからなのか、イギリスのブラック・ユーモア的皮肉たっぷりな描写が肌に合わないからなのか…。気付いたら本を胸に抱いて眠ってしまっているということが何度あったことか。最後まで、本の世界観に入り込むことが出来ませんでした。19世紀初頭というのは、まだ魔術というのが生きていた時代なのか、魔術の定義が現代の私が考えるものと違っているのか、その辺からどうも難しい作品でした。最後のクライマックスは、盛り上がっていくのですが、それもイギリス的冗長な感じで、手に汗握るというよりはもっと、斜に構えた感じ。イギリスの思想であるとか、国民性が垣間見ることのできる、そうは言っても、やはり壮大なスケールで描かれた読み応えのある1冊です。でも日本人受けするのは、同じイギリスで魔法ならば、ハリー・ポッターのほうかな、とも思いました☆

こちらもイギリスを舞台にした作品

 そして、もう一冊がパトリシア・コーンウェル「切り裂きジャック」。パトリシア・コーンウェルはアメリカのミステリー作家で、ケイ・スカ―ペッタを主人公にした「検屍官」シリーズはシリーズ累計910万部を超える大ベストセラー作家。そのパトリシアが、ヴィクトリア朝末期の1880代後半に起こった切り裂きジャック事件の犯人を、現代の科学的捜査で追ったノンフィクション作品。その犯人と名指しされるのが、ヴィクトリア朝のイギリスを代表する印象派の画家「ウォルター・シッカート」。彼が遺した手がかりを、DNA鑑定やコンピュータによる画像処理、紙の分析などを駆使して、迷宮入りとなった歴史的な犯罪の犯人を追及していく。

 こちらも19世紀のイギリスが舞台で、その光化学スモッグの霧と悪臭の立ち込めるロンドンのスラム街の様子がリアルに迫ってきます。ただ、作者の思い入れがあまりにも強いためか、「ここにこんな証拠があったはずなのに警察は見過ごした」とか、「今だったらこんな捜査が出来て重要な証拠になったのに」だとか、今から100年以上前の事件を現代の技術で解明しようとするので、「そんなこと言われても当時にはなかったんだから仕方ないんじゃ…。」とか「そんなに証拠を見過ごすって警察もグルだったって考えてるの?」って邪推してしまったり。何より、作者の(彼女自身警察記者、検屍局のコンピューター・アナリストを経て作家に転身している)「私だったら捕まえられたのに…。」的な押し付けがましさが、辟易してしまう1冊でした。犯罪心理学であるとか、当時の下層社会史のような歴史の裏側の闇のヴィクトリア朝史として読むには面白い著作です。

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