沖縄ウェディング プロデュース 「Love Baile(ラブバイレ)」

マイケル・クライトン「マイクロワールド」

2012.11.15

舞台はハワイの多雨林

マイケル・クライトンという巨匠が残した最後の作品である「マイクロワールド」。マイケル・クライトンといえば、「ジュラシックパーク」の作者としてやTVドラマシリーズ「ER]の製作者としても知られ、ダン・ブラウン「ダ・ヴァインチコード」のストーリー展開はマイケル手法とも言われている、まさにアメリカを代表する作家です。

その偉大なる作家が2008年に死去し、その幻の遺作と言われたのが本作。作品は最後まで仕上がっておらず、アウトラインや資料をもとにリチャード・ブレストンが完成させ、日の目を浴びた作品です。

7人の大学院生が、新薬を開発するマイクロテクノロジ―会社にリクルートされ、ハワイの謎めいた研究所に招かれる。そこで、ハイテクを駆使し、わずか2センチのマイクロサイズに次元変換される装置の存在を知る。同時にこの会社の関わる犯罪を知ってしまった大学院生たちは、この装置によって体を小さくされ、ハワイの密林の中に放り込まれる。48時間以内にもとの大きさに戻らないと副作用から死を招くらしい。巨大になった虫たちや追手の暗殺者、牙をむく大自然の前で、若き科学者たちは専門知識のみを武器にジャングルからの決死の脱出を図る。といった内容です。

マイクロサイズになった小人の視点、人間サイズ(マイクロピープルからは巨人になる)の視点、そして企業の犯罪の匂いを追い続ける警察の視点と三視点から語られる本著は私の好きな分野。同作は「ガリヴァ―旅行記」を引き合いに出されることが多いとのことですが、私はあまりそことの類似性を感じることはありませんでした。

内容は全く違いますが、視点の動きや今後の展開をハラハラさせページをめくる手が否応にも早くなっていく、スピーディーに読ませていくストリーテラーとしての在り方は、どちらかというとダン・ブラウンやアダム・ファウアー「心理学的にありえない」などを彷彿とさせました。とは言ってもぢとらもマイケル・クライトンに多大なる影響を受けている作家なので当たり前と言えば当たり前ですが。

ニセンチの大きさになって森に捨てられたら発狂してしまう…

虫が好きではない私にとっては、アリやクモ、ハチやムカデと戦うシーンは鳥肌もの。絶対に同じ立場になりたくないし、発狂するだろうな…と思わずにはいられません。でも映像とは違う想像力の世界での本はやっぱり楽しいもの。読み終わって、その世界から戻ってくるのにしばし時間がかかった、お薦めの一冊です。

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