台風が去って、梅雨が明けて夏本番の沖縄。強い紫外線が沖縄の風景を鮮やかに彩る中、嬉しい光景が…。台風でやられた木々たちから新芽、新緑の息吹が感じられるようになりました。
やわらかなまだ薄く頼りなげで、でもこれから美しく強くなっていくその命の限りないエネルギーを感じる新緑たち。思わず笑みがこぼれるような、自然がすることはどんなことにもちゃんとした続きがある。そこにあるのは、本質的な愛なのかもしれない。生まれ出る生命力は、人の心と体にも左右しているのを感じます。失われた喪失感を知っているからこそ大切にできる事。当たり前だと思っていたことは、決して当たり前ではないということ、自然の教えてくれることの何と雄大なこと。
同じことはどこにもない。瞬間瞬間ですべては移り変わっていく。
「あ~、世界とまさに出くわそうとしてる。二度と来ない私の今日~」
これは、私の大好きな椎名林檎の「三文ゴシップ」というアルバムに収められている「色恋沙汰」という曲の中の歌詞の一部ですが、海や水、森や木々を見ているとなぜかいつも頭に浮かぶ言葉です。「二度と来ない私の今日」ってステキな言葉だなと思います。人は幸せに慣れ過ぎて、昨日は今日の続きで、今日は明日の前振りだと思いがちですが、今日の一瞬は、今日しかない。エリザベス・ギルバート「食べて、祈って、恋をして」の中にも、今見て幸せなときに、「またここに来たいな」という友人に対して、「未来じゃなくて、今まさにここにいるのだから、今を存分に楽しめばそれが、幸せというもの」といった言葉がありましたが、自然を見ているとその言葉がストンと胸に落ちてくる気がします。
海が満ちて、干いていく。森がほんの1週間で再生していく。目で見えるものは、心で見ているということ。案外見ていると思っているようでも、自分が見たいと思っていないものは見えていないということに気付く。どこまでも深く私たちを包み、許容し赦しを与える地球という存在を、台風2号の破壊とそして再生、創造に見るような気がします。