世界中にある太陽信仰。それは、琉球においても例外ではありません。
琉球では、二ライ・カナイという海の向こう(特に東方)に別世界が存在し、そこには太陽の生まれる「テダが穴」が存在すると信じられてきました。当時に人々にとって地球は丸いという概念はなく、穴から生まれた太陽は上空を通り、やがて西方の「テダバンダ(太陽の崖)」に落ちていくと考えられ、沈んだ太陽は地底の穴をとおって、東方の「テダが穴」から再び生まれてくると信じられてきました。
この発想は、琉球だけのことではなく、世界各地の遺跡にも同じような内容を伝える遺物が遺されています。私がこの話を聞いたのも、BSでやっていた「世界遺産」という番組で、アイルランドの世界遺産を紹介している中で、まったく同じようなことを伝えていました。
南城市にある玉城(玉グスク)の門は、夏至の日の出の方角とぴったり一致することが知られています。一年の中で太陽が一番長く輝く日に、グスクの中にエネルギーを取り込もうとしたことが想像できます。夏至の日の出の方角と一致するのは玉城だけではなく、中城や糸満城など、他のグスクにも共通してみられる構造ということです。また門だけでなく、建物も日中の太陽の方角、南に向けられているものが数多くあります。
古の建造物の空気を感じていると思うのが、現代の科学技術が勝っているわけではないのでは?ということ。あの時代に、太陽の方角に合わせて建物を建築できる技術がこの島国にあって、それは世界と大きく繋がっている、今よりももっとグローバルな世界観だったのではと思います。